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ごあいさつ

館長からのごあいさつ

  • 田辺聖子さんは、昭和22(1947)年に樟蔭女子専門学校国文科を卒業されました。本学での学びと国文学への深い造詣を基盤として、独自の豊かな文学的世界を創造され、多くの読者を魅了してこられました。 芥川賞受賞作『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』をはじめとする斬新な恋愛小説、『源氏物語』等の古典文学の現代語訳、大阪弁や川柳の研究に基づく作品、作家の評伝小説、軽妙洒脱なカモカシリーズ等々、多彩な作品の旺盛な創作活動によって平成20(2008)年には文化勲章を受章されました。

    田辺聖子さんは堅実な家庭人として日々の生活を楽しむことを大切にされた魅力的な女性でした。そして、終生、母校・樟蔭を愛しみ懐かしむ心を持ち続けておられました。

    第二次世界大戦下の激動の時代を生き抜き、鋭い洞察力と豊かな言語感覚・巧みな文体によって様々な人間を描き続けた田辺聖子さんは、昭和・平成を代表する作家として正しく評価・研究されるべき時を迎えています。

    田辺聖子文学館は平成19(2007)年に本学創立90周年記念事業として、卒業生・田辺聖子さんを顕彰すべく開館いたしました。田辺さんが愛した母校の一角に、ご自宅の書斎やカモカバーを再現し、愛用品の数々を展示しています。生原稿をはじめ貴重な少女時代の、作家デビュー以前の作品や講演の映像資料なども所蔵しています。

    開館以来、全国から多くの来館者を迎えてきました。これからも田辺聖子さんの世界に親しく触れることができる文学館、さらに、田辺文学の研究拠点としての文学館であり続けたいと思っております。

  • 大阪樟蔭女子大学 田辺聖子文学館 館長   中 周子